Effective manual creation

効果的なマニュアル活用法

-すべてのナレッジを価値に変える-

ガイドラインとマニュアルの違いとは?それぞれの概要や作る上で意識すべきポイントを解説

ガイドラインとマニュアルの違いとは?それぞれの概要や作る上で意識すべきポイントを解説

あなたは、ガイドラインとマニュアルの違いはご存知でしょうか。

タイトルに「〇〇についてのガイドライン」「△△マニュアル」と書いてあれば、どちらであるかは一目瞭然ですね。では、タイトルに書いていない場合はいかがでしょうか?

社会に属している私たちは、実はガイドラインやマニュアルに従って行動している人々に守られながら生活しています。例えば、金融機関にお金を預けたり、携帯電話を契約したりすれば、「個人情報の保護に関する法律」に基づいたガイドラインやマニュアルに、自分の個人情報が守られているのです。

このように、ガイドラインやマニュアルは私たちの生活や仕事に深く関わりがあります。2つを比べることで違いがはっきりわかり、ガイドラインやマニュアルを作る際に役立ちます。

この記事では、ガイドラインとマニュアルの違いについて詳しくご紹介し、ガイドラインやマニュアルを作成する際に意識すべき3つのポイントについてご説明します。

ガイドラインとマニュアルの違いを理解しておくと良いこと

ガイドラインとマニュアルの違いは「何となくわかるけれど、細かい点までは知らない」という人が多いのではないでしょうか

この違いを細かい点まで理解しておくと、仕事で読んだり作ったりする際に良いことがあります。どんなメリットがあるのかをご紹介します。

資料の内容を早く正確に理解できる

読み手の立場になった場合、資料の内容を早く正確に理解できるメリットがあります。

もし、マニュアルを読むべき状況なのに、先に見つけたガイドラインを読んでいたとしたら、具体的な対処方法が分からず、時間の無駄となってしまいます。

「これはガイドラインだから、大きな方向性や指針を示しているな。具体的な施策や作業方法までは書いていないのだな」というように、資料の内容を早く理解できます。目的に合う資料であるか、読むべき資料かがわかり、早く行動につなげることができます。

作成する目的を明確化した上で資料を作成できる

作り手の立場になった場合、作成する目的を明確化した上で資料を作成できるメリットがあります。

ガイドラインとマニュアルの違いをよくわからずに作っていると、ガイドラインなのに方向性を明示せず具体的な作業を書いていたり、マニュアルなのに詳しい記述がなく作業の流れだけを書いていたりと、読み手のニーズに反する資料を作る羽目になってしまいます。

今から作成する資料が何を目的としているか。ガイドラインなのか、マニュアルなのか。それがはっきりするので、必要な項目を抜け漏れなく書くことができ、読み手に役立つ資料を作成することができます。

ガイドラインとマニュアルの違い

ガイドラインとマニュアルは、それぞれどのような位置付けで、どんな内容なのでしょうか。

まず、位置付けを理解するために、具体例を一つご紹介します。

冒頭で挙げた「個人情報の保護に関する法律」は、2005年から施行され、氏名や生年月日などの個人情報について、その有用性に配慮しつつ個人の権利や利益を保護することを目的とした法律です。

この法律を所管する個人情報保護委員会が「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」を作成しています。これを基に、行政機関や企業が、どのように法律を遵守するために行動するのかを各組織のマニュアルで定めています。

つまり、法律や政策を守るための指針がガイドライン、指針に従った行動内容がマニュアルです。

それでは、ガイドラインとマニュアルがそれぞれどんな内容であるかをご説明します。

ガイドラインとマニュアルの違い

ガイドラインの意味

ガイドラインとは、法律やルールなどを守るための「指針や指標、方向性」です。また、証券取引の世界では、取引利用を適正化するために留意すべき基準とされるように、「物事の判断基準」という意味もあります。

さまざまなケースを勘案した上での指針や基準であるため、内容は抽象的であり、また数量で表すはっきりしたもの、というよりは「目指すべき質」の内容となります。

どのようなガイドラインがあるのか、3つ例を挙げてご紹介します。

【ガイドライン例1】組織が従業員を指導する時の指針

企業や団体などの組織が作成する、従業員を指導する時の指針があります。

例えば、社内のインターネット利用や顧客対応などについて、「このような時はこのような範囲で行動しましょう」といったように、組織として望ましい基準を示すものです。

【ガイドライン例2】法律上自主的に遵守することが推奨される基準

政府が作成する、法律上自主的に遵守することが推奨される基準があります。

金融や医療など、国の規制がある分野においては、ガイドラインに必ず従う必要がある場合もあります。例えば、先ほどの「個人情報の保護に関する法律」については、金融機関向けに作成された「金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」があります。

「しなければならない」「してはならない」と記述している事項に従わなかった場合、法令違反と判断される可能性があり、「望ましい」と記述している事項については、法令違反とされることはないが、可能な限り対応することが望ましい、といった主旨の記述があります。

【ガイドライン例3】行政の政策や施策における指標

政府が作成する、行政の政策や施策における指標があります。新聞やニュースでよく目にするガイドラインはこの例が多いでしょう。

例えば、経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」では、産業界におけるデジタルトランスフォーメーションを推進するにあたって、企業に取り組んでほしい経営戦略やビジョンの提示、体制整備などについて書かれています。

ガイドラインとマニュアルの違い

マニュアルの意味

次に、マニュアルの意味について見ていきましょう。マニュアルは「やり方を示した手引」です。

マニュアルの内容は「誰がいつどのような作業をどれだけ行う」というように具体的なものであり、結果のレベルとともにをはっきり指し示すものです。
例えば、ガイドラインが「健康のためには、塩分は控えめに加えるのが望ましい」という内容ならば、マニュアルは「塩小さじ1を加える」と具体的に指示する内容になります。

マニュアルにはどのような種類があるのか、2つ例を挙げてご紹介します。

【マニュアル例1】機械などの取扱説明書

マニュアルと聞いて真っ先に思い浮かぶのが、機械などの取扱説明書でしょうか。

例えば、車に取り付けたカーナビゲーションシステムの取扱説明書。目的地を設定する方法や、音楽を聴く方法などが、図や絵とともに、詳しく説明されています。

また、「エンジンをかけないで使用するとバッテリーが消耗される」「お手入れの際に使ってはいけない薬品」など、やってはいけない事例をできる限り挙げて注意喚起し、トラブルを防止しています。
万が一トラブルが発生した際はどうするか、なども書かれています。

【マニュアル例2】作業手順などをまとめた書類

業務において、作業手順などをまとめた書類があります。

業務の概要や具体的な作業手順、求められるレベル、注意事項、過去の失敗例など、「これを見れば誰もが求められるレベルの業務を遂行できる」というものです。

業務の作業手順をまとめたものには、大きく分けて2種類あります。
その業務の位置付けが理解でき、業務が行われた後どのような成果が現れるのか全体像が把握できる、総論としてのもの(いわゆるマニュアル)と、「Aのボタンを押す」「B課に報告する」など1つの作業の詳しい手順を指示する、各論としてのもの(いわゆる手順書)があります。

詳しくは、こちらをご覧ください。

関連記事:『マニュアル作成が成功する7つのコツ!実施ステップやツール選定のポイント・手順書との違いも解説

ガイドラインとマニュアルを作る上で意識すべき3つの違い

ガイドラインとマニュアルの違いは理解いただけたでしょうか。

最後に、ガイドラインとマニュアルを作る上で、意識すると良いポイントを3つご紹介します。これから作り手となる人は、ぜひお読みください。

【ポイント1】方向性の明示の有無

1つ目のポイントは、方向性の明示の有無です。

ガイドラインを作る場合は、テーマに対して、今後どうなりそうか、どうしていけばよいのか、といった未来の方向性や見通しを明示しましょう。

マニュアルを作る場合は、そういった未来の方向性よりも、現在行うべき具体的な方策や、過去の事例を明示するとよいでしょう。

【ポイント2】内容の具体性

2つ目のポイントは、内容の具体性です。

ガイドラインを作る場合は、ゴールまでの大まかな流れや行動範囲など、抽象的な内容とします。読み手に「どう行動すべきか」を考えさせるものです。

マニュアルを作る場合は、「誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのようにする」といった5W1Hで指図するような、具体的な内容とします。読み手が誰であっても指図通りに行動できるものです。

【ポイント3】実施結果

3つ目のポイントは、実施結果です。

ガイドラインが理想とするのは、「守るべき法律やルールを守っている状態」です。したがって、行動した後得られる結果が同じとは限りません。
記載されるのはあくまでも大まかな流れや行動範囲ですので、具体的な方法は読み手が考えることになり、さまざまな結果を得ることになります。

マニュアルが理想とするのは、「指示した通りに行動している状態」です。したがって、行動した後得られる結果はほぼ同じものとなります。
具体的な作業手順が必要十分に記載され、読み手がその通りに行動していれば、同じレベルの同じ結果を得ることになります。

まとめ

この記事では、ガイドラインとマニュアルの違いについてご紹介しました。
「マニュアルの最初に書いてある概要がガイドラインのことだと思っていた」という人もいたかもしれませんね。

ガイドラインとはルールや法律、規程などの守るべきことについて、どう行動すればよいのかの指針を記したもの。抽象的であり、読み手は読んだ後、どう行動するかを自分たちで検討するものです。

マニュアルとは、何かの手順や行為を示したもの。具体的であり、読み手は読んだ後、記された内容の通りに行動するものです。

ガイドラインやマニュアルを作成する上で、意識すべき違いは以下の3つです。

  1. 方向性の明示の有無
  2. 内容の具体性
  3. 実施結果

ガイドラインとマニュアルの違いを理解しておくと、あなたが読み手となった場合は早く理解できますし、作り手となった場合は的確な内容の資料を作ることができます。ぜひ今後の業務にお役立てください。

関連記事:『マニュアル作成が成功する7つのコツ!実施ステップやツール選定のポイント・手順書との違いも解説

KnowledgeSh@re体験版 60日間無料

KnowledgeSh@re体験版 60日間無料

富士通ラーニングメディアの「KnowledgeSh@re」

ガイドラインやマニュアルの作成にも、本格的なマニュアルを手軽に作成できる『KnowledgeSh@re(ナレッジシェア)』が役立ちます。どのようなツールなのか、60日間の無料体験で確認できます。

マニュアル作成・共有ツール「KnowledgeSh@re」を60日間お試しいただけます。
KnowledgeSh@re無料トライアル
※資料はこちら

記事一覧ページへ戻る

お問い合わせはこちらから