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業務マニュアル化のメリット・デメリット・進めるべき理由をまとめて解説

2021/7/16

「少しずつ業績は上がっている。一方で、業績向上やリモートワークに伴い、残業が増加傾向にある。長時間勤務化を抑えつつ、業務の質を上げていくには、何をすべきなのだろうか」

このように考えている皆さんの職場では、業務のマニュアル化はできていますか?
マニュアルは「ただ作業手順を記したもの」にとどまらず、実は業務の質向上に貢献してくれる存在なのです。

今回は、業務のマニュアル化を行うことで、どんなメリットやデメリットがあるのかをご紹介します。

関連記事:『マニュアル作成が成功する7つのコツ!実施ステップやツール選定のポイント・手順書との違いも解説

マニュアル化をメリットから考えてみよう

業務内容のマニュアルとは、業務の全体像を示すとともに、一つひとつの仕事に必要な準備や手順を解説した手引書です。

個人、もしくは少人数での職場であれば、手順は各人の頭の中に入っていればよいかもしれません。しかし、ある程度の人数が集まった組織であれば、情報を共有し、知見を蓄積していくための仕組みを用意する必要があります。それがマニュアルです。

そろそろマニュアルを作成すべきだと考えつつも、なかなか時間がとれないのが実情でしょう。

とはいえ、業務をマニュアル化すると、社員それぞれが仕事の全体像を理解し、行動しやすくなります。それにより、業務の質が向上していきます。マニュアル化にどのようなメリットがあるのか、具体的に見てみましょう。

業務のマニュアル化による4つのメリット

業務をマニュアル化することで得られる、主なメリットを4つご紹介します。どのようなメリットなのか、またマニュアル化することでなぜ業務の質が向上するのか、詳しく解説していきます。

1.業務品質の均一化

業務をマニュアル化することで、業務品質の均一化をはかることができます。

なぜなら、基礎的な業務知識に加え、社員それぞれが直面した事案や気づきをマニュアルに追加していくことで、全員が情報共有でき、「私はその件は知らなかった」といった情報格差を減らせるからです。どの社員が担当しても、ある一定以上の品質で商品やサービスを提供できるようになります。

また、マニュアルにより、業務の流れや責任の所在がつかみやすくなるので、ミスやトラブルが発生したときも原因究明が早くなります。

業務品質が均一化できれば、トラブル自体が減り、発生した場合でもその対応に追われる時間が削減できます。社員が気持ちの余裕を持てるようになり、さらなる業務品質の改善や顧客満足向上のために時間を使うことができるようになります。

2.早期の人材育成が可能

マニュアルがあれば、早期に人材を育成することが可能になります。

なぜなら、業務の全体像や必要な知識を初日から目に見える形で渡せるので、理解速度が違う社員であっても自分の仕事の位置付けがつかめ、早くキャッチアップできるからです。新人や他社からの転職者、社内の他部門から来た新任担当者、似た業務をしていた隣の課からの転入者など、社員の状況はさまざまです。状況の違いがあっても、早期に戦力化することができます。

さらに、リモートワークによって「隣の席の先輩社員に質問する」といったことがしづらい環境にあっても、マニュアルは自力で解決策を考えることをサポートする、頼もしい存在となります。先輩社員にとっても、質問に応答する時間を削減できます。

早期に人材が育成できれば、職場全体が業務の品質向上に時間を振り分けていくことができます。

3.業務の属人化リスクの解消

業務のマニュアル化により、業務が属人化してしまうリスクを解消することができます。

なぜなら、マニュアル化により業務の範囲が明らかになり、「この仕事=Aさん」ではなく「この仕事=B課担当者」といったように、業務が「人」ではなく「役割」のものだと明文化できるからです。

「スキルが豊富なベテラン社員がいくつも役割を握っており、退職したら誰も穴を埋められなくなった」
「社員が休んだらその人の業務は誰も分からないのでカバーできない」

このようなケースがなくなります。

また、特定のお客様をひそかに特別扱いする、といった不正を防止することにもつながり、コンプライアンス遵守の視点からも、業務の属人化は避けるべき課題です。

業務の属人化を防ぐことにより、担当者が替わっても業務の質を維持することができ、顧客対応の品質が向上します。

4.業務改善の土台ができる

業務マニュアルは、業務内容を見直す土台となります。

なぜなら、マニュアルを作成すること自体が、業務内容を見直すきっかけになるからです。仕事の重複や、作業ボリュームの偏り、時代に即していない手続きなどの洗い出しをすることができます。

また、「この作業はこの先の流れのために必要であり、廃止してはいけない」「かつてこんな失敗事例があった」などの、作業の背景や過去の経緯を記録する場所となります。こういったナレッジは、記録場所がないとなかなか蓄積することが難しいものです。

マニュアルという業務改善の土台を作る過程で、現状の業務を見直すことができます。さらには、その土台に新たな情報やナレッジを蓄積し、業務をより良くしていく循環ができます。そうすることで社員が働きやすくなり、業務の質の向上につながっていくのです。

業務のマニュアル化による3つのデメリット

業務のマニュアル化により、業務の質が良くなっていく一方で、やり方次第ではデメリットが発生する場合もあります。どのようなデメリットなのか、またどうするとデメリットでなくなるのか、見ていきましょう。

1.マニュアル通りにしか動けなくなる

社員が、マニュアル通りにしか動けなくなる場合があります。

マニュアルを重視するあまり、マニュアルに記載されたことはきっちりこなすけれど、記載されていないことまでは考えない、といった人が出てきます。マニュアル通りではない事案には対応できない、また、マニュアル以上の応用的な対応を求められたときに「できません」と拒否するなど、融通が利かない社員が出てくる可能性があります。

もしくは、ミスやトラブルの発生時に、「マニュアルにこう書いてあるからこの通りにやっただけ」「マニュアルに書いていなかったからやらなかった」と社員が言い訳するかもしれません。

こんな社員を生み出さないためには、ポイントが2つあります。

  • マニュアル作成時に、限定的に書きすぎず、他にも可能性があることを示唆する書き方を心がける。また、手順だけではなく、商品の存在意義や仕事への心構えも盛り込む。
  • 日頃から、マニュアルを超えた提案や発想があれば歓迎する、といった職場風土を醸成しておく。

2.モチベーションが下がる

社員のモチベーションが下がってしまうケースがあります。

しっかりしたマニュアルがあると、社員は「マニュアル通りの対応をしなくてはいけない」と考えてしまいがちです。仕事をしていて、何かアイデアや改善点を思いついても、「決められたこと以上はやらなくていいか」と考えてしまうことがあります。

業務内容は時代とともに変化していくものであり、マニュアルも未来永劫万能ではないものです。

「今後の状況の変化に伴って、業務もマニュアルも良い方向に変えていくことで、お客さまのためにもなるし、自分たちの仕事もやりやすくなる」

社員のモチベーションを下げないために、このような意識付けをしていきましょう。

3.マニュアル作成に時間がかかる

マニュアル作成には時間がかかる、というデメリットがあります。

業務内容を体系立てて整理し、統一されたフォーマットで作成し、完成後、現状に即しているかを各担当者がチェックするなど、マニュアルを整備するには多くの工程があります。多忙な業務と同時並行でマニュアルを整備しようとすると、どうしてもマニュアル完成までに時間がかかってしまいます。

作成に時間がかかるデメリットをなくすためには、2つのコツがあります。

  • まず小さな業務範囲で大まかなマニュアルを作成し、パイロット運用してみる。
  • マニュアル作成のためのツールを活用する。

今は、あまり時間をかけずにマニュアル作成ができるITツールが次々と開発されています。どんなツールがあるのか、次の項でご紹介します。

マニュアル化のメリットを活かすおすすめのITツール

業務の質向上につながるようなマニュアルを作るには、ITツールを活用する方法があります。見やすく、社員の気づきやアイデアを随時追加でき、マニュアルの作成・更新に時間がかからないツールが出てきています。
どのようなITツールがあるのかを知り、自社の状況にマッチするツールがあるか、検討してみてください。

1.社内wiki

「wiki」はインターネットサイトの「Wikipedia」の略称です。「社内wiki」とは、みんなで作る百科事典さながらに、社員が参加して文書の更新や情報交換などのコミュニケーションを行える、自由度の高いツールです。他のツールとの連携を強化するなど、近年利便性が高まっています。

マニュアル化の視点で見ると、どちらかというと情報検索や情報共有に強いツールであり、上書きや削除などの編集を管理者が制御できるものであれば導入しやすいといえます。

2.グループウェア

グループウェアとは、組織の情報共有全般に役立つツールです。ポータルサイトと呼ばれることもあります。スケジュールやワークフロー、掲示板、メールツール、タスク管理、文書管理など、組織の業務で必要な機能がパッケージ化され、導入している企業では「使わない日はない」というほど必要不可欠なベースのシステムとなっています。

マニュアル化の視点で見ると、文書の共有や閲覧に関して、バージョン管理やアクセス制限などによる堅牢な仕組みがある一方で、改善対象箇所にメモを残すといった柔軟な機能は、現状は少ないようです。

3.マニュアル作成ツール

マニュアル作成に特化したツールです。
編集権限の管理、バージョン管理やアクセス制限などの堅牢性に加え、レイアウトの自動編集や動画・画像の挿入のしやすさなどの柔軟性を備えているので、時間をかけずにマニュアルの作成や運用を実現できます。

実際に使用する社員にとっては、こんなツールだとさらに使い勝手が良いといえます。

  • パソコンのみならずモバイル端末でも使える
  • 2段階のメモ機能で、ひらめきを逃さない自分用メモと、マニュアルへのフィードバック用メモが使い分けられる
  • 複数の担当者が同時にマニュアルのレビュー作業を行うことができ、同じ内容のレビューは集約表示される

マニュアル作成ツール「KnowledgeSh@re」は、上記の特徴に加え、タイムリーなコメント機能や作業進捗チェックリスト機能など、マニュアルの作成から運用まで任せられる多くの機能があります。お客さまへの説明に正確性が必要な窓口業務や、作業に精度が求められる製造現場など、幅広い職場に適しています。

また、社外秘情報であるマニュアルをどこに保存するかも重要なポイントですが、セキュリティ対策が万全な富士通グループの「富士通クラウド」が基盤となっているので、セキュリティ面でも安心です。

このように、マニュアル作成のためのITツールには、社員がマニュアル作りに積極的に関わりたくなるような機能があります。ぜひ自社の状況に適したツールを選んでみてください。

まとめ

今回は、「業務の質を上げていくには何をしたらよいか」とお悩みの方に、業務をマニュアル化することのメリット・デメリットについて、解説しました。

業務のマニュアル化を進めると、大きく分けて4つのメリットを得ることができます。

  • 業務品質が均一になる
  • 早期に人材を育成できる
  • 業務が属人化するのを防ぐ
  • 業務改善の土台づくりができる

これらを積み重ねていくことで、業務の質を向上させていくことができます。

一方で、マニュアル化のやり方次第では、次のような3つのデメリットが起こる可能性があります。

  • 社員がマニュアル通りにしか動かない
  • 社員のモチベーションが低下する
  • マニュアル作成に時間を要する

これらのデメリットを起こさせないための解決策を、それぞれ提示しています。解決策の一つとして、近年ますます充実しているマニュアル作成ツールのうち、おすすめのツール「KnowledgeSh@re」を例に挙げ、どのような機能が業務の質を高めるのかをお伝えしました。

マニュアルを整備することで、情報や知見を共有しようという意識が、社員の中に芽生えてきます。さらに、マニュアルは業務知識を集約した土台であり、その土台は「改善していくための叩き台」だという意識付けができると、マニュアルを起点として、業務は改善していくものだ、という意識が生まれます。

マニュアルを有効活用して、業務の質をより高いものにしていきましょう。

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