IoTエンジニアへの近道かも?!組込みソフトウェア開発体験

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みなさん、こんにちは。富士通ラーニングメディアの増田です。組込みソフトウェア開発技術の研修講師を担当しています。

新入社員や組込みソフトウェア開発部門配属者向けにリモコンカーを教材に、ものづくりを疑似体験する研修も多く実施してきました。

今回は、このデジタル時代、あらためて製造業やIT企業の技術者に注目されている「組込みソフトウェア」。その開発の面白さを疑似体験する研修のようすをご紹介します。

デジタル時代のキーテクノロジー

AIやIoTなどあらゆる分野でデジタル革新の技術が加速しています。そんな中、あらためて注目を集めているのが、キーテクノロジーとなるセンサー技術やモーター技術です。

IoTでは、様々なセンサーから収集した情報をインターネットを介して、クラウド上にビッグデータとして蓄積します。AIはその蓄積された情報をもとに、様々な分析によって付加価値を生み出します。そして、ロボットをはじめとする様々な機器や機械がモーターを駆使して、価値ある商品やサービスを世の中に提供していく―――このようなデジタル技術を駆使した新しいビジネスを形づくっていくためには、キーテクノロジーや要素技術の知識や理解がどうしても必要になります。加えて、商品やサービスのアイデア創出、検証、商品・サービス化していくという一連のプロセスを理解すること、いや、体験・体得することが必要になってくると思っています。

実際に、触って、動かして、体験してみることで腹落ちする――私たちはこのような考えの下に、新入社員やソフトウェアエンジニア配属者向けに行っている「組込みソフトウェア技術研修」ではリモコンカーを取り入れたりしています。やっぱりリアルに動くものが面白いんですよね。

組込みソフトウェアの活用領域の広がり

ここであらためて組込みソフトウェアに触れておきましょう。少し前のテレビドラマで「そよかぜ扇風機」とか、「自動運転トラクター」などが登場していましたが、実はこの扇風機やトラクターに搭載されているのが「組込みソフトウェア」なんですね。
これまで、家電製品や携帯電話、自動車などの製造業を中心に利用されてきた組込みソフトウェアですが、米国Google社や中国の企業などが自動運転自動車の開発に参入したりと、組込みソフトウェア技術を扱う業種・業界はどんどん広がっています。2005年から組込みソフトウェア技術者研修を開催している当社でも、当初は大半の方が製造業に関わる方でしたが、いまは企業向けの業務システムを構築しているようなITベンダーや受託ソフトウェアを開発しているソフトハウスと呼ばれる企業の受講者が増えています。いまのデジタル時代は、製造業とIT企業との垣根はないといっても過言ではないでしょう。

リモコンカーに使われているデバイス類

リモコンカーに話を戻します。研修で使用するリモコンカーには様々なセンサーやモーターなどのデバイスが搭載されています。

【センサー】
 3軸加速度センサー、GPSセンサー、3軸ジャイロセンサー、測距センサー、
 カメラセンサー、温度センサー、湿度センサー、気圧センサー、
 赤外線受信センサー、傾斜センサー

【モーター】
 DCモーター、サーボモーター、駆動モーター(前進、後退、加速、減速を制御)

【スイッチ】
 トグルスイッチ、プッシュスイッチ、テンキースイッチ、ボリュームスイッチ

【その他のデバイス】
 LED、LCD、圧電ブザー、CAN通信モジュール、赤外線発信モジュール、
 USB通信モジュール、Wifi通信モジュール、Bluetooth通信モジュール、
 Zigbee通信モジュール

これくらい沢山のセンサーやモーターなどのデバイスが搭載されているんです。全部の説明はできませんが、例えば、3軸加速度センサーは、任天堂WiiやSwitchのコントローラーに使われていたりしますし、測距センサーやカメラセンサーは車の衝突防止装置でも使われています。実はこのリモコンカーに実装することも可能なんです。また、DCモーターは、そよかぜ扇風機の「そよかぜ」を実現したモーターだったりします。

このように様々なセンサーやモーターなどの特性を、適正あるいは効果的に引き出し、あたかも魔法のように商品やサービスの付加価値を高めていく、それが組込みソフトウェアの役割と言えるのかもしれません。

IoTエンジニアへの近道かも?!組込みソフトウェア開発体験

さて、リモコンカーを使った当社の組込みソフトウェア開発体験の研修ですが、どんな進み方をするのか少しだけご紹介します。
言い忘れていましたが、ラジコンカーではなくリモコンカーと呼んでいるのは、テレビ用リモコンの赤外線電波によってコントロールする車だからです。

リモコンカーには2つの基盤ボードが搭載されており、そのボードに組み込むリモコン受信用ソフトウェアとモーター制御用ソフトウェアの開発を行うのですが、当然ながら開発体験なのでプロジェクトとして進めるため、4~6人でチームを組みます。
そして、要件定義 → 設計 → 実装 → テストという一連の工程で開発を行っていきます。ただ単に与えられた要件に沿って進めていくというものではなく、チームそれぞれで特徴ある機能を追加することも求められます。自分たちでアイデアを考え出し、それをリモコンカーに実装する――簡単にはいかず、チーム内で時には激しく議論したりしながら、限られた開発日数の中で試行錯誤を繰り返してなんとか形にする――というプロセスになるので、チームごとの濃淡はありますが最後の達成感は格別のものがあるようです。

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組込みソフトウェア開発工程の体験というだけでなく、このカリキュラムには「アイデア創出」→「検証」→「商品・サービス化」という「商品開発」のプロセスに近いことを体験できます。そしてその商品がリアルに動く(残念ながらうまく動かないこともあったりもしますが)ことに、チームだけでなくクラス全体で一喜一憂できるので面白さが感じられるのかもしれません。

ちなみに、これまで研修の受講者がリモコンカーを使って開発したものの一例を挙げてみますと、

  • 走るオルゴール
  • 遊びながら学べるお子さん向け脳トレカー
  • マラソンペースメーカー
  • ドリフト走行のできるリモコンカー
  • 走行を記憶し、それを再現できるリモコンカー

などなど、ユーザーの利用シーンを必死に考え抜いた発想力豊かなものも作り出したりしています。

この研修では何より受講者のみなさんに「組込みソフトウェア開発の面白さ」を疑似体験してもらいたいと考えています。IoTが生活や社会の中にどんどん浸透しつつある中、デジタルデバイスを使った商品やサービスへの期待はますます高まっていくでしょう。それは、IoTエンジニアがもっともっと必要とされていることでもあると思います。今回ご紹介したリモコンカーを使った開発体験研修が、そのお役に立てればうれしい限りです。

関連情報

新入社員のための組込みソフトウェア技術研修~開発体験~

講師プロフィール

増田 晃章(ますだ てるあき) 

富士通ラーニングメディアの人材育成サービス部門で、2007年よりプログラミング言語や、組込みソフトウェア開発、IoT、セキュリティなどの研修講師として従事。休日は、ウインドサーフィンやスキーなどを楽しむ。

(2019/02/28)