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2013年4月記事一覧

みなさん、こんにちは!
富士通ラーニングメディアで、研修の企画・設計や講師を担当している佐藤です。

イメージ図今回は、システム運用管理を中心とした幅広い分野で広く利用され、ITサービスマネジメントの世界的な業界標準として普及している「ITIL」の特徴や、「ITIL v3」から「ITIL 2011」への改訂ポイントなどについて、ご紹介します。

これからITILを学ぼうとされる方や、既にITILをご存知で、「ITIL 2011」の改訂ポイントを知りたいという方に、ご参考にしていただければ幸いです。


<ITILとは?>

イメージ図「ITIL」とはIT Infrastructure Libraryの略で、英国政府が開発した、ITサービスマネジメントのベストプラクティスが、「コア書籍」と呼ばれる5冊の書籍群にまとめられています。


イメージ図このITILをベースに、ITサービスマネジメントに関するスキルを証明する認定資格には、「ITIL Foundation」や、「ITIL Intermediate」、「ITIL Expert」などがあり、問題はコア書籍をもとに出題されます。

 

英語版のコア書籍は、2011年夏に「ITIL v3」から「ITIL 2011」へ改訂され、日本語版のコア書籍は、2012年度末までに翻訳と改訂が完了しました。
資格試験も順次移行していますので、2013年内には、すべての試験がITIL 2011へ移行完了となる見通しです。

 

ITILと聞くと、企画・開発・運用・保守といった情報システム構築フェーズのうち、運用・保守を扱っているというイメージが強いかもしれません。
しかし、ITIL はv3以降、サービスのライフサイクルという概念を提唱しており、ITサービスを顧客へ提案する場面から日々の運用業務までを幅広く捉えるようになりました。

具体的には、

・ITサービスの提案を行う『サービスストラテジ』
・ITサービスの設計をする『サービスデザイン』
・リリースや変更を取り扱う『サービストランジション』
・日々の運用業務にあたる『サービスオペレーション』
・全体を包含する『継続的サービス改善』

という5つの段階があり、各段階でプロセスが定義されています。
プロセスの数は、v3では26個でしたが、2011では、顧客関係管理とデザイン・コーディネーションが追加され、28個になりました。

 

<ITILを学ぶメリットや魅力とは?>

ITILを初めて学習する方は、とても幅広い範囲を学ぶことになり、ご自身がご担当したことがない内容も出てきます。
たとえば、『サービスストラテジ』では、顧客へITサービスの提案を行う段階とプロセスが定義されています。
学習する方は、ITサービスを提案する側として「このITサービスは、顧客の目的に適合しているか?」といった顧客志向の観点を持ち、ITサービスについて考えることになります。
普段、こういった観点を業務で考えたことがない方にとっては、ちょっと難しい反面、学びの面白さを感じていただけるところです。

ITILを学習するさまざまなメリットのひとつに、参画できるプロジェクトの幅や選択肢が広がる可能性があるという点があげられます。
個人であれ会社単位であれ、このメリットは大きいでしょう。

私はITIL研修の講師を通じて、さまざまな受講者様や企業の教育ご担当者様へお会いする機会も多いですが、組織全体で資格取得に取り組むケースを多くお見受けし、人気の高さを実感しています。
当社で実施している研修にも、顧客満足度や品質向上施策の一環として、組織全体で運用に力を入れているITベンダー様、自社での運用を効率化したいユーザ企業様など、さまざまな方がおいでになります。
また、以前はFoundation の資格取得でITILの学習を終える方が大多数でしたが、ここ数年は、上位資格であるIntermediateやExpertを目指して研修を受講される方が増えています。
ISO20000 (注)普及の流れが背景のひとつにあるようです。

私は、日本人以外のエンジニア、たとえばベトナムなど新興国の方に対しても、研修を実施することがありますが、受講者様の業務内容を確認させていただく際、ITILの枠組みの知識が非常に役立っています。
オフショア関連業務を行う際、共通言語として利用できることも、ITILの魅力と感じています。

(注)ITサービスマネジメント(ITSM)に関する英国規格BS15000をベースとして開発された国際規格。ITサービスを実施するためのフレームワークであり、ITILを基にして規定されている。


<ITIL 2011の変更点>

イメージ図「ITIL v3」から「ITIL 2011」への改訂の主な狙いは、内容の整合性を図ることにあります。
構成を標準化して、整合性・一貫性、読みやすさの向上と確保が図られています。
すでにご紹介した、サービスのライフサイクルという概念に大幅な変更はありませんが、プロセス名とプロセス数には若干の修正があります。
2011はバージョンアップではなく、v3のマイナーチェンジだと思っていただけると、分かりやすいと思います。

しかしマイナーチェンジとはいえ、コア書籍のうち、『サービスストラテジ』には大幅な改訂が行われました。
ページ数は2倍近くに増え、構成やプロセスも見直されています
たとえば『ITサービス戦略管理』『ITサービス財務管理』『事業関係管理』といった、新しい概念のプロセスや、名称をあらためたプロセスが定義されていますので、注意が必要です。

その他、注目したいキーワードは「クラウド」と「ソーシング」です。

コア書籍 『サービスデザイン』には、ソーシングの構造(提供戦略)の記述があり、2011になり、「クラウド」の概念が追加されました。
クラウドサービス普及によりマルチベンダ化が進み、リソース調達をするうえでの柔軟性が高くなる一方で、ITサービスにおける複雑性やリスクが増すことが指摘されています。

コア書籍によると、今後、補完書籍にてクラウドサービス普及に伴うソーシング戦略の指針を提供する予定とのことです。
今後のITILの動向として、クラウドとソーシングが注目を集めるものと考えております。

 

<ITILを学び、顧客起点でITサービスの価値を考えよう>

イメージ図システム障害や顧客クレームが多発している状況下で、ご自身の担当業務のみを掘り下げても、なかなか改善が進まないかもしれせん。
その際には、ITILに書かれている、ITサービスをライフサイクル全体で捉える視点が重要です。

ITILの広い視野で原因を考えると、たとえば「もし自分がITサービスを提案する立場だったら、この状況をどのようにとらえるか?」「顧客は、そもそもの目的を達成できているか?」などと、顧客志向の観点での原因考察ができるようになります。

ITILを学ぶと、視野が広がり、ITサービスの提供を通じて顧客へ提供できる価値とはなにか、と考える機会を得ることができ、先々の予測や改善へ役立てることが期待できます

このコラムのタイトルを、「顧客起点でITサービスの価値を考えよう」としたのも、そのためです。
私は、個人としても組織としても、ITILが役立つと確信しておりますので、ぜひ一緒に学んでいければと思います。

当社でも、ITIL認定資格コースをご提供しています。
ご紹介してきたとおり、2011は、v3のマイナーチェンジですので、v3対応コースをご受講されても問題ないかと思います。

>> ITIL認定資格(v3対応コース)

なお、「ITIL 2011」対応コースも、近々、リリース予定です。
「ITIL 2011」対応コースのリリースが決まりましたら、当社Webサイトでご紹介いたします。
メルマガでもご案内いたしますので、まだメルマガ登録されていないお客様は、この機会にぜひ、登録ください。

>> メルマガ登録

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当社は、研修サービスを通じて、皆さまの成長のお手伝いができれば、と考えています。
人材育成に関するご相談などございましたら、是非、当社の「無料相談会」へご参加ください。企業の人材育成のプロフェッショナルである当社スタッフが、お客様と一緒に考え、解決に導きます。
「無料相談会」は、毎週水・金曜日に開催していますので、ぜひお気軽にお申し込みください!

>> 人材育成無料相談会

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

みなさん、こんにちは!
富士通ラーニングメディアでアカウント営業を担当している千葉です。
このコラムには、3回目の登場となります。

私は以前、会社に通いながら、熊本大学大学院(修士課程)で学び、修士論文では「講師力」を取り上げました。
昨年、それをブラッシュアップしたものを、「講師力の定義・構造化の有用性の検証~研修事業会社の講師力向上への取組みを例として~」として、教育システム情報学会の全国大会で発表したところ、大会奨励賞を頂戴しました。

これは、一言で言うと、講師に求められる力(講師力)を定義し、より役立つよう、現場での評価、検証を行った研究です。
今回は、この研究テーマについてご紹介します。
自社内で講師や教育企画を担当される方々にもご参考になれば幸いです。

<なぜ「講師力」に注目したのか>

イメージ図

「講師力の定義」を研究テーマに設定したきっかけは、あるお客様から「講師の品質に関するクレーム」を連続していただいてしまったことでした。

クレームの原因は、講師のスキル・経験と、お客様のニーズとの不一致にあったため、当然のことですが、その後は、事前にお客様のニーズをより正確に把握するようにしました。
それと同時に、当社が定義している、講師に求められる力(講師力)にぬけやモレがないか、また、そもそもそれはお客様のニーズを満たすことのできるものなのか...などといったことを、根底から考えることにしました。

当社で講師として登壇するには、長年のノウハウの蓄積から構成された講師手引きを熟読の上、何度もリハーサルを行い、幹部社員のチェックをパスしなければならないシステムになっています。
その際には、当社で作成している「リハーサルチェックシート」を指標として利用しています。

それでもクレームが発生しているということは、まだ改善の余地があるのではないか?と思い、あらためて講師に求められる力を定義し、講師品質を起因とするトラブルを削減・軽減したいと考えました。
研修事業会社が「講師力」について研究発表をした例は、私が調べた範囲では過去に無く、その新規性と有用性が評価され、各方面から多くの反響を頂きました。

<現場に即した研究プロセス>

では、どのように講師力を定義し、より役立つよう評価、検証したのか、研究プロセスを簡単にご説明します。

プロセスは大きく3フェーズに分かれており、それぞれ以下のような取り組みをしました。

イメージ図

I 分析・調査フェーズ

まず、現状どのように講師力が定義されているのかを、既に当社で利用している講師手引きやリハーサルチェックシートから整理しました。
次に、ここ2年間の当社研修アンケート約22万件の中から講師に関係する低評価な事例を抽出し問題点を明らかにしました。
また、
・先行事例としては、国際標準であるibstpiインストラクターコンピテンシー(1)(2)を、
・先行研究としては、同じ研修事業会社の事例を元に研究・開発された、研修当日のチェックに用いる研究観察記録シート(3)
を比較対象として調査しました。

II 設計・開発フェーズ

Iで調査・分析した各種講師指標と当社の講師指標を照合して、相似・相違を明らかにしました。
次に、現在発生している問題の解決に役立つと考えられる講師力要素の追加を行って、「講師力定義リスト」を開発しました。

III 試用・評価フェーズ

開発した「講師力定義リスト」を、インストラクショナル・デザイン(教育が最適な効果をあげるための設計手法)の専門家、現場管理職、現場講師それぞれの観点から評価を頂き、改善を行いました。
また、「講師力定義リスト」の活用方法についても、現場の声を収集して検討しました。


<研究成果「講師力定義リスト」が完成!>

このように、先行事例・先行研究との比較や、現場での評価なども踏まえ、最終的に3階層・16カテゴリ・55要素で構成される「講師力定義リスト」が完成しました。
例えば「演習手順説明を明瞭にできる」など、現実的にはほとんどの場合、講師が意識して対応できているものの、項目としては漏れていた部分などを追加し、妥当性、網羅性を確保しました。
下表は、専門家などの評価をもとに改善した「講師力定義リスト」から、一部を抜粋したものになります。

イメージ図

 
今回は、講師に最低限求められる講師力を定義しました。
今後は、ハイパフォーマーの育成をどうするかという課題や、新しい形式の研修(ファシリテーション型研修、PBL型研修、サテライト講習会、eラーニングとのハイブリッド教育など)についても、それぞれどのようなスキル・経験が講師に求められるのか、調査・研究したいと考えています。

また、研究の中では、このリストの活用方法も検討し、以下のような活用案を考えています。
・現在利用しているリハーサルチェックシートを改善する際の材料として活用する
・講師力定義リストの各項目に紐づくeラーニングを開発し、講師力向上をはかる
・お客様の社内講師育成や外部認定講師育成の際に利用する


今回ご紹介した「講師力定義リスト」が含まれた研究論文は一般にも公開しており、既に自社での人材育成や社内講師育成に利用したい、とのお声も複数社から頂戴しております。
研究論文は下記サイトからダウンロードいただけますので、ご興味がある方は、ぜひご覧ください。
 https://www.fujitsu.com/jp/group/flm/contact/form/paper01-dl.html


<研究プロセスを通して見えてきたもの>

今回の研究は「講師力定義リスト」という成果につながりましたが、それに加え、研究のプロセスを通じて、見えてきたものや得たものが非常に多くありました。
 ・当社の講師力定義がどのようになっているのか現状を整理できた
 ・アンケート結果の解析から、どのような事柄が低評価につながっているのか明らかにできた
 ・「講師力」に関する社内での議論が活性化した
 ・開発した「講師力定義リスト」の活用アイデアを、社内で検討することができた

これらの成果は、今後当社が講習会サービスを、高品質でかつ継続的に提供し続ける上で、非常に重要な知見になり得ると考えています。

 

<全国大会で大会奨励賞受賞!>

イメージ図以上のような研究成果が評価され、教育・IT関連の研究・調査・情報交換を目的とした、国内最大級の団体である、教育システム情報学会の、第37回全国大会(2012年8月開催)にて、大会奨励賞を頂戴しました。

大会奨励賞とは、教育システム情報学と関連分野における学問の発展を奨励するため、その貢献が顕著である新進の研究者に贈呈される賞で、全国大会で発表された全公演の中から3%を目途に授与されます。
今回は私を含め、3名が受賞しました。
このような賞に私が選ばれたのは、自身の研究成果やプレゼンテーションが認められたという意味で大変光栄です。
これは、私だけの努力ではなく、熱心に指導頂いた熊本大学大学院教授システム学専攻の先生方や、研究の評価・改善に協力頂いた方々、営業業務のかたわら研究に取り組むことを支援してくれた職場の仲間(自社のことで恐縮ですが・・・)の支援と協力があってのことと強く感じており、この場を借りてあらためて御礼申し上げたいと思います。
 

<過去のコラムもご覧ください!>

今回は「講師力の定義・構造化の有用性の検証」の研究成果についてご紹介しましたが、大学院の通学中には「熊大通信」と題し、大学院で学んだ専門的な知識を当社コラムとしてご紹介しました。
また、卒業後は「チャレンジの連鎖から世界が広がる(社会人修士体験記)」というテーマで、主に私と同じ立場で頑張る20代~30代の会社員を対象に、通学や研究を通した気づきや、学びをどのように業務と結び付けたかを掲載しました。
よろしければ、ぜひそちらもご覧ください。

  ◇熊大通信
   第1回:「熊大通信」を開始します!
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/08/201008170900.html
   第2回:熊大のシステム ~eラーニング大学院ならではの学習の仕組み~
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/08/201008240900.html
   第3回:教育をする意味~期待を整理して改善へとつなげよう~
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/08/201008311515.html
   第4回:御社のeラーニング、効果的に使えてますか?
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/09/201009071530.html
   第5回:インストラクショナル・デザインの実践に向けて
                    ~プロセスモデルに基づいた開発体験を通して~
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/09/201009150900.html
   第6回:どうしたらみんながeラーニングを活用してくれると思いますか?
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/09/201009211601.html
   第7回:学習目標の立て方~5分類を活用しよう~
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/09/201009281628.html
   第8回:どうしたらみんなが自発的に学習してくれると思いますか?
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/10/201010050900.html 
   第9回:誤った目標設定から脱却する!
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/10/201010120900.html
   第10回:eラーニング最新動向 ~eラーニングの明日はどっちだ!
      http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/10/201010190900.html
   第11回(最終回):熊大通信、いかがでしたでしょうか?
      http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/10/201010260900.html

  ◇チャレンジの連鎖から世界が広がる(社会人修士体験記)
    第1回「軸を見つけたい! ~ 修士課程へのチャレンジ」
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2012/08/201208020640.html
   第2回「「講師力」って何? ~ ビジネスのヒントの探し方」
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2012/08/201208090645.html
   第3回「1人のチャレンジが、組織を変える!?」
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2012/08/201208230645.html
   第4回「効果的・効率的に考えるコツとは?」
     http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2012/08/201208300640.html

 

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参考文献

(1) 森田晃子: "自主的な学習を促すID に基づく学習ポータルの設計-MR 教育者が学習する「場」を考える-」",熊本大学人文社会学部教授システム学専攻修士論文(2010)
(2) 松本尚浩: "インストラクターコンピテンシーの医療者教育への応用",医療職の能力開発JJHPD4月号p41-62(2011)
(3) 菊田美里: "企業内教育における対面型研修の形成的評価の質を高める研修観察支援ツールに関する研究",熊本大学人文社会学部教授システム学専攻修士論文(2011)


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