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2012年7月記事一覧

こんにちは!富士通ラーニングメディアの豊島です。教材やマニュアルなどのドキュメント企画・制作・翻訳業務を担当しています。

今月は、米国で開催されたASTD(American Society for Training & Development、米国人材開発機構)のカンファレンスから得た知見をお話ししてきました(毎週木曜日掲載)。
カンファレンス終了後には、大学や企業を訪問し、最先端の情報に触れてきました。
最終回となる今回は、訪問したアメリカの企業や大学で、今、どのようなことが行われているのかをご紹介します。

<さまざまなコンテンツをWeb上での受講へ(Oracle University)>

最初に訪問したのは、Oracleの研修サービス部門であるOracle Universityです。
クラウドコンピューティングの活用が進む中、Oracle Universityでも「教室トレーニング」から「トレーニングオンデマンド」への転換期に差し掛かっています。

Oracle Universityは、ほとんどのトレーニングコンテンツを、Web上で受講できるよう計画を進めています。
計画の初年度より、今までの教室トレーニングからトレーニングオンデマンドに大きくシフトしていく予定ということでした。

Oracle Universityのトレーニングオンデマンドの特長は、以下の通りです。
・最高のトレーニングを、ワールドワイドで、誰もが好きな時に90日間受講できる
・クラウドを活用した環境により、教室に行く手間/費用を削減できる
・コンテンツは教室で実施している講師を撮影し、臨場感を高めている
・世界最高水準の品質を確保できる

Oracle Universityで提供しているトレーニングオンデマンドは、ビデオの画像、音声ともに高品質で、非常に素晴らしいコンテンツでした。

ICT技術が今までの講師・教材・教室にこだわらない新たな人材育成の可能性を広げられることを改めて実感した訪問になりました。
当社も、ICTツールを活用し、学びたい人が学びたいことをいつでもどこでも学べる環境をお客様にご提供していきたいと思っています。

<PBLでリアルな学びを体験する(スタンフォード大学PBLラボ)>

PBL(Problem Based Learning)とは、当初、実際の現場における問題を題材とする「問題志向型の学習法」として紹介されていましたが、その後、進化しています。

スタンフォード大学のPBLラボでは、5つのP(Problem:問題、Project:計画、Product:商品、Process:過程、People:チーム)を網羅したPBLの手法を活用して、よりリアルに学びを体験するグローバルなプロジェクトが進行していました。

訪問先のPBLラボは建築学部に設置されているため、ある建設現場の実習を行っていました。本事例における特長をご紹介します。
・オープンな学びの空間:アメリカだけでなく、ヨーロッパをはじめとする世界各国から学生たちがロボット(※)で参加
・より現実的なテーマ:実際に存在する建設現場を想定し、プロジェクトを疑似体験
・リアルな現場からメンターを投入:学生たちのプレゼンテーションに、実務家たちがアドバイス

世界各国で実施されるグローバルなプロジェクトを想定し、遠隔地にいながら、ICTツールを活用してディスカッションなどに参加することで、PBL活動を実践しています。

当社でもPBL(Project Based Learning)の手法を用いた研修を開催しています。
今後に向けて、ICTを効果的に活用し、リアルな側面を補完することで、現場に近い状況を再現したり、遠隔地から参加したりした場合でも、「よりリアルに疑似体験できる研修」の開発のヒントが得られた訪問となりました。

20120726_6            ※この写真のようなロボットが遠隔地からの参加者1人に対し1台用意されています。
          
上部の画面には参加者の顔がリアルタイムで映ります。

<企業と学術研究を結びつける(スタンフォード大学Media X)>

Media X(メディア エックス)は、人の行動や考え、技術にかかわるデザインや研究をコーディネートするプログラムを実施しています。

スタンフォード大学の豊富で強力な人的ネットワークを活用し、大学と企業が共同研究し、市場などに新たなプロダクト(商品)やサービスを提供する産学連携を推進しています。
そういった点で、Media Xは企業と学術研究を結びつけるための触媒的な存在であるともいえます。

Media Xで実践している取り組み事例を紹介します。
・ラーニングトランスファー:ICTツール(360度の映像を撮影できるiPhone用カメラレンズ。Media Xで開発)を使い、学び/ノウハウを動画ですぐに共有
・人的ネットワーク構築/活用:あらゆる分野における人脈を生かし、複雑化する現場の課題について、チームで知や解を発見する「コラボレーティブ・ディスカバリ」にチャレンジ。
・科学分野でのシミュレーション:生物工学に関連した内容をインターネットでゲームのようにシミュレーションしながら学べる環境を支援

訪問を通して、スタンフォード大学の強力なネットワークが、企業のイノベーションを促進するための鍵の1つになることを実感しました。

<知を共有するためのオープンスペース(Citizen Space)>

Citizen Space(シチズン スペース)は、倉庫を改造して、起業したばかりの企業家たちのために事務所を提供しています。

机や椅子がまばらに置かれたオープンスペースに集まった企業家たちが、自分の仕事にだけ没頭するのではなく、そこにいるほかの企業家と刺激を与え合い、学んだりする場を意図的に作り出しているところに特長があります。
その結果、Citizen Spaceの人脈をフル活用して、ビジネスを展開する企業家が誕生しているそうです。

印象的だったのが、ともに働き、学ぶ、Co-WorkingやCo-Learningが、自然と行われていることです。
同じ環境を日本にそのまま導入すれば、同じ効果が現れるかといえば、文化の違いなどから難しい面もあると思います。

しかし、研修の中に、お互いに学び合える環境を盛り込み、個人が組織に頼らず自発的に学ぶ、インフォーマルラーニングを考える上で、大いにヒントになる訪問となりました。

以上のような、アメリカの企業や大学における視察で得たことから、効果的な研修につながる要素を探り、積極的に取り入れ、みなさんのお役に立てるような研修サービスにつなげていきたいと思っています。

20120726_citizenspace_2

<カンファレンスと視察を振り返って:これからの人材育成とは?>

4回にわたり、「2012年人材育成のトレンド」として、アメリカのASTDカンファレンスへの参加や企業・大学に訪問から得た知見についてお話してまいりましたが、いかがでしたか。

今回の訪問全体で感じたことは、2つあります。

1つ目は、研修サービスをご提供する立場として、「定期講習会をご提供するだけではいけない」という危機感です。

第2回でもお話ししましたが、今後はそれぞれの組織の目標にあわせた研修をご提供していくことが、さらに重要になると考えています。
そのために、お客様のビジネス目標を達成するために必要な人材育成について、人材育成パートナーとして一緒に考えさせていただける存在になりたいと考えます。

2つ目は、ネットワーキングの重要性です。今回のアメリカ訪問で、人と人が交流し、何かを一緒に作り上げていくことで、「1+1」が2以上の力となる現場を目の当たりにしました。

これはまさに、人的ネットワークの力です。ASTDカンファレンスの参加者は、「プロとして高い知識や技術を持つ人が、組織の枠にとらわれず、より高い成果物を作り出していく」ことができるネットワークを構築することの重要性を、強く認識していました。

日本においても、企業間を越えて共通の目標を持つ人同士が、情報共有し、お互いに支援を行い合うようなネットワークをもつケースも見受けられ、ネットワーキングの必要性は高いと考えます。

当社では、これまでも、同じ目標を持つさまざまな企業の方が集まり情報交換を行うプログラムをご提供し、受講者の方同士のネットワーキングのお手伝いをしてきました。
今後、さらに、この取り組みを強化し、お客様のお役に立つ情報をご提供しながら、当社がお客様同士のネットワークの「ハブ」のような存在になりたい思っています。

      ◇      ◇      ◇

当社では、人材育成に関するさまざまな無料セミナー/無料体験・相談会を開催しています。ぜひ、お気軽にご相談ください!
▼詳細はこちらからご覧ください。
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■「2012年人材育成のトレンド」は今回で終了です。お読みいただきどうもありがとうございました。
バックナンバーもあわせてお読みください。
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こんにちは!富士通ラーニングメディアの程田(ほどた)です。
当社のLMS(学習管理システム)サービス、KnowledgeC@fe(ナレッジカフェ)を活用した人材育成の推進を担当しています。

今月は、5月に参加したASTD(American Society for Training & Development、米国人材開発機構)のカンファレンスや、その後に視察した米国企業から得た知見をお話ししています(毎週木曜日掲載)。

3回目となる今回は、ASTDカンファレンスにて注目した2つ目のテーマ、「リーダーシップ」についてお話しします。
リーダーシップというと、以前からカンファレンスで話題になっており、すでに語りつくされた印象が強かったのですが、今年も大きく取り上げられていました。
参加者からの注目度も高かったため、やはり「リーダーシップは永遠の課題である」ととらえています。

<リーダー層の意識改革を促す:AT&T社の実例より>

AT&T社で実施されているリーダーシップ研修を実際に体験できるセッションに参加しましたのでご紹介します。
リーマンショック後の業績悪化に苦しんでいたAT&T社では、自社を電話会社ではなく、IPインフラ提供プロバイダーと位置づけ、組織の変革を目指しました。

その中でも一番の問題となったのは、競合会社と比較して、顧客からの評価が非常に悪いことでした。
自社にとって「カスタマーサービスが生命線」という結論を下し、リーダー層の意識改革を目指したのだそうです。

セッションで体験した演習内容は、参加者が、従業員と顧客に分かれ、「シナリオ通りに演じてみる」というものでした。
私には、病院の受付担当者という役割が与えられました。相手は窓口にクレームを言いに来た患者です。
「どのようなクレームであっても、すべて拒否するように」という指示が与えられました。
他の参加者も、「航空会社の受付担当者と乗客」「ホテルのレセプションと宿泊客」など、それぞれ異なる役割とストーリーが与えられました。

参加者はみな、最初は緊張していましたが、徐々に役割に徹することが楽しくなり、最後は演じた人も、見ていた人も大盛り上がりでした。
そして、各自が自分の役割を演じ切った後は、それぞれの顧客対応を振り返り、フィードバックをしながら、あるべき姿を討論しました。

このようなカスタマーサービスの改善を目的とした研修は、通常、現場研修の1つと考えがちですが、AT&T社では、「現場のサービス改善には、マネージャの意識改革が必須」ととらえ、役員を除く、ほぼすべてのマネージャに対して実施したのです。
ロールプレイを通して「サービスとは何か?」を徹底的に考え、リーダーとしてあるべき姿に気づかせる――この研修の結果、AT&T社の業績は大きく改善されたということです。

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<日本でもアメリカでも、悩みは「リーダー不足」>

日ごろ、お客様とお話ししたり情報収集をしたりする中で、日本で、リーダーになりたいと考える人が以前に比べて減っているのではないかと感じています。
どちらかというと受動的で、言われたことをきちんとできる人は多いのですが、リーダーシップを発揮しようとする人が少ないように思うのです。

この背景には、個人がリーダーシップを発揮する機会を「自発的に持たない」あるいは「組織的に持てない」という、両側面の課題が考えられます。
リーダーシップを発揮し、失敗してしまうことを恐れているのかもしれません。つまり、「失敗から学べる」という考え方が重要と理解しながらも、目の前のリスク回避を優先してしまう傾向にあるのではないでしょうか。

さらに、スピーディに変容するビジネスの中で、組織がリーダーとしてのロールモデルを示すことが難しい、とも感じています。
このような悩みは、日本特有のものだと思っていましたが、今回参加した『ビジョナリー・カンパニー』の著者であるジム・コリンズ氏の講演によると、アメリカでもリーダーは圧倒的に不足しているのだそうです。

<リーダーは育成できる>

コリンズ氏は、リーダーを5層に分ける理論「レベル5リーダーシップ」を提唱しています。
そして、「トップレベルのリーダー(レベル5)も、教育によって段階的に育成できる」ということを力説していました。

もちろん、スティーブ・ジョブズ氏や、ビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏のような、カリスマ的存在のリーダーを教育によって生み出すことは容易ではありません。

しかし、組織が成長し続けるためには、必ずしもカリスマ的なリーダーは必要ではなく、コリンズ氏の定義する第5水準のリーダー、つまり「適材適所に人を配置し、動かすことができるリーダー」をどれだけ輩出できるかが重要なのだそうです。

みなさんもご承知のとおり、組織において、リーダーはとても多忙な存在です。
今回、さまざまなセッションに参加する中で、そのように多忙な組織の上層部に対し、一定期間、現場から離れた場所で研修を実施しているケースを多く見受けました。

各セッションの発表者はほとんどが社内の人材育成担当者でした。
セッション終了後、発表者に、テーマに対する情報交換を試みたところ、「リーダー不足に対する危機感」や、「組織を挙げたリーダー育成の重要性」を感じていることを話してくれました。

当社においても、今後も「リーダーシップ研修」を継続的に行うことの必要性や効果を、お客様にお伝えしていきたいと思います。
お客様が必要とする真のリーダーを育てるためのプログラムを一緒に考え、人材育成パートナーとしてお役に立ちたいと考えています。

■本シリーズは毎週木曜日更新です(4回目は、7月26日)。
最終回は、企業と大学の訪問から見えてきたことをお話しします。
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こんにちは!富士通ラーニングメディアの矢邉(やべ)です。

企業内における人材育成の仕組みの研究と、LMS(学習管理システム)の運用管理を担当しています。

今月は、5月に参加したASTD(American Society for Training & Development、米国人材開発機構)のカンファレンスや、その後に視察した米国企業から得た知見をお話ししています(毎週木曜日掲載)。
2回目となる今回は、当社が注目したテーマの1つ、教育の費用対効果「ROI(Return on Investment)」と、教育に対する期待値「ROE(Return on Expectations)」についてお話しします。

<教育の費用対効果を測定する指標>

人材育成の費用対効果を考えるうえで、日本とアメリカには大きな違いがあります。
アメリカでは、人材育成を「投資」ととらえます。
ですから、投資に対する効果を明確化することに積極的に取り組んでいます。

何事も数値化して議論する傾向が強いアメリカでは、30年ほど前から、人材育成の効果も数値で評価してきました。
その際活用されているフレームワークの1つが、ドナルド・カークパトリック氏の「ROI」で、ROIを測定するモデルとして「レベル4フレームワーク」があります。

20120712__4   
今年のASTDのカンファレンスでは、昨年引退したドナルド・カークパトリック氏の後継者であるジェームズ・カークパトリック氏の講演がありました。
彼は、ドナルド氏が提唱した「ROI」だけでなく「ROE」をあわせて提唱し、組織の期待値(ビジネス・ゴール)を示す「ROE」を高めることの重要性を説いていました。

<日本では、人材育成を「コスト」ととらえてきた。しかし・・・>

カークパトリック氏によると、現状では、「レベル4フレームワーク」のレベル1~2ぐらいまでを適用しているケースが多く、レベル3を乗り越えることは難しいのだそうです。
たとえば、「研修において、受講後のアンケートをとることで、レベル4を達成した」ととらえているケースもあるなど、適用の難しさを、事例を交えて説明していました。

アメリカでは人材育成を「投資」ととらえるのに対し、日本では、人材育成を「コスト」ととらえる傾向が強いのではないでしょうか。

コストは、組織経営上、基本的に何かあれば「削減」する対象となるもので、いかに優れた人材育成のカリキュラムであっても、できるだけ最小限に抑えたいと考えてしまう傾向があるのです。

ご存じのとおり、組織が継続的に発展していくには、適正な人材育成が必要です。
近年、経営状況が厳しい時だからこそ人材育成の重要性をとなえ、研修効果を測り、「見える化」しようとする日本企業は少なくありません。

では、研修効果を具体的にどのように測定すればよいのでしょうか。

<人材育成の効果を測定するための、組織としての覚悟>

ROIやROEを活用した効果測定を実施するためには、まず、組織におけるビジネス目標を明確にして、それを達成するための人材育成を考える必要があると思います。

具体的には、以下のステップを踏みます。
1)組織の目標を明確にする(例:東南アジアでの売り上げを、10%アップさせる)
2)そのためには、どのような人材が必要かを定義する(例:現場マネージャーにヒアリングする)
3)その人材が身に付けるべき知識は何かを明確にする(例:語学? 製品知識?)
4)そのために必要な教育を実施する
5)実務に対してどのような成果が得られたのか(どのように行動が変わったか)を測定する(例:実際に、育成した人材を東南アジアに派遣して、検証する)

教育の費用対効果を正確に試算するために、企業は、個々の従業員に、自身の興味があることを自発的に学ぶことだけを期待するのではなく、組織の目標を達成するために、どのようなことができる人材を、いつまでに、何人育成するのか、ということを戦略的に考え、実行していく必要があるのではないでしょうか。

<真の人材育成パートナーを目指して>

当社では、さまざまな組織に所属している方々に向けた「定期講習会」をご提供しています。
定期講習会では、「それぞれの組織に求められている事項」をすべて網羅することは難しいため、多くの組織で共通して求められる事項に絞った内容で構成しています。

しかし今後は、定期講習会だけではなく、それぞれの組織にあわせた研修をご提案していくことが今まで以上に重要になると考えています。

その際は、「ビジネス目標のためにどのような人材が必要なのか」「どのようなスキルを修得できたら、ビジネス目標の達成に役立つのか」「その効果をいかに測定するのか」といったことを、お客様と一体となって考えさせていただけるような、「真の人材育成パートナー」を目指したいと考えています。
そして、その実現のためには、当社は人材育成サービスをご提供する企業として、お客様に信頼していただける存在でなければならないと、強く感じました。

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■本シリーズは毎週木曜日更新です(3回目は、7月19日)。
次回は、ASTDカンファレンスから、2つ目のトピックである「リーダーシップ」についてお話しします。
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こんにちは!富士通ラーニングメディアの森です。当社のグローバルビジネスの推進を担当しています。

2012年5月に米国のコロラド州デンバーで開催されたASTD(American Society for Training & Development、米国人材開発機構)のカンファレンス(ASTD International Conference & Expositions)に参加してきました。

今月は、ASTDカンファレンスと、その後に視察した米国企業から得た知見や、今後の人材育成におけるポイントなどをお話しします(毎週木曜日掲載)。1回目となる今回は、ASTDカンファレンスの今年の傾向と、世界の人材育成の潮流についてまとめます。

<ASTDカンファレンス:人材開発における、世界最大規模の国際会議>

ASTDは、1943年に設立された非営利団体で、組織のトレーニング、人材開発、パフォーマンス向上に関する情報発信、人材交流を行っている会員制組織です。
今回私たちが参加したカンファレンスは、職場の学び方とその効果や問題をテーマに毎年開催される国際会議です。行政団体、教育関係者および、企業が参加し、組織を越えて学びあえる場となっています。

本年のカンファレンスは、"Learn Something New, Perform Something Extraordinary(新しいことを学び、実行する)" をスローガンに掲げ、以下の観点でプログラムが組み立てられていました。
・展示会での同業者やベンダーとの交流を通じ、仕事に役立つ最新の商品やソリューションを見つける
・業界のリーダーと交流を持つ
・世界一流の講演を聞き、人材育成業界の最新理論やモデルを学ぶ
・最新トレンドに追いつくだけでなく、トレンドそのものをリードする

カンファレンスへの参加者は9000名以上(海外からの参加者は、2100名。内訳:韓国384名、カナダ188名、中国175名、日本146名、ブラジル110名)。
人材開発をテーマにこれだけの人が一堂に会するカンファレンスは他になく、世界最大規模といえます。

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<今年のトレンド:より成果に結び付く人材育成へ>

ASTDでは、毎年テーマがいくつか設定されます。時代の流れに合わせたホットな話題がテーマになるので、世界中の組織が「人材育成についてどのように考えているのか」というトレンドが分かります。

                       【カンファレンスのテーマと主なセッション内容】

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今年、新たに追加されたテーマは、「キャリア開発」、「グローバル人材開発」、「セールス・エネーブルメント(セールスの有効化)」の3つでした。
2008年のリーマンショックが契機となり、経営状態が厳しくなっている現在、組織が人材育成に対しても、収益性を重視し、「目に見える形での成果」を求めるようになっています。
そのため、より現場に近く、成果に結び付きやすい話題が大きな注目を浴びていました。

<日本とは違う、インタラクティブなセッションの進め方>

さまざまなセッションに参加して、日本との違いを感じたのは、その進め方です。
日本の講演会や研修では、講演者が話し、受講者が聞く、という一方通行な講義スタイルがほとんどです。
質疑応答も、「受講者が講演者に質問をして教えてもらうもの」という位置づけで、「話す人と聞く人が分離している」という感覚です。

一方、今回のセッションは、いずれもインタラクティブでした。受講者というよりも参加者、「聞いている」ではなく、「参加している」という感覚で、講演者と受講者に一体感がありました。

たとえば、講演者が会場に質問を投げかければ、まるで小学生の教室のように、たくさんの手が挙がります。

また、1つのセッションの最中に、数回、隣の人とディスカッションをする時間が設けられています。
必然的に、隣に座った人とディスカッションをしないといけない状況になりました。
与えられたテーマでのディスカッションだけでなく、自己紹介をし、講演内容について気になったことを話しているうちに、人材育成に関するいろいろなことに話題が広がっていくことを実感しました。

講演者の話を、ただ聞いているだけだと忘れてしまうようなこともありますが、他の人と話すと理解が深まり、このような進行方法が効果的であることを、身をもって体験しました。

質疑応答も、質問者は、「自分は、こう思う。みなさんは、どうか?」と、会場全体に問いかけ、会場全体を巻き込んでのディスカッションが始まります。
受講者は、講演者から単に情報を受け取るだけの存在ではなく、講演者とともにその場を作り上げていく参加者という位置づけです。
また、参加者自身もその場をエンジョイする感覚を持っていることを感じました。

<必死で解を求める人たち。世界の人材育成は熱い! >

ディスカッションは、セッション会場の中だけでなく、セッション終了後も続きます。
「同じセッションに参加していた」という共通項を持つ、初対面の人たちが、ロビーのあちこちに集まり、質疑応答の続きや、講演内容について、ディスカッションをしていました。
そこには、惰性的に「ただセッションに参加すれば良い」と考えている人はほとんどいませんでした。

参加者からは、自分のビジネスにおける悩みを解決するためのヒントをつかんで帰りたい、という意気込みを感じました。
参加者の問題意識の大きさ、ビジネスへの解を求める必死な思いを目の当たりにするにつれ、彼らの人材育成に対する誇りや緊迫感のようなものが伝わってきました。

自社の状況を振り返り、「我々は彼らと同じくらい熱い気持ちを抱えているだろうか?」と自問し、気持ちの引き締まるような思いを抱きました。

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■本シリーズは毎週木曜日更新です(2回目は、7月12日)。
次回は、ASTDカンファレンスから、当社が注目したトピックについてお話しします。
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