こんにちは!富士通ラーニングメディア・ソリューション本部の森です。
日本がグローバルビジネスを展開するうえで、欠かせない地域である東南アジア。
その中で、特に親日性が高いといわれるベトナム・シンガポール・フィリピンの3ヶ国の人材育成の現状を視察してまいりました。
前回、当社の岨下がご紹介したのは、シンガポールのICT教育の取り組み。
シンガポールに多くの優秀な人材が揃っていることは知っていましたが、それは国をあげての人材育成の賜物だったのですね。
第4回の連載となる今回は、発展のスピードが目覚ましいフィリピンの現状についてお伝えいたします。
<英語堪能で親切な国民性>
前回、当社がフィリピンを訪れたのは、およそ10年前。
当時はほとんど整備されていなかった国が、この10年間で驚くほど発展しており、そのスピードにとても驚きました。
ベトナムやシンガポールと同じく、国内は活気にあふれており、グローバルビジネスを展開する企業から大きな注目を集めています。
実際、ここ10年の間に多くの欧米IT企業が参入、データセンターなどを集約する動きが見られました。英語が堪能な上、親切な国民性を持つフィリピン人。
彼らは諸外国の技術を取り入れ、フィリピン仕様に転換する能力にも長けています。
<日本とのパイプ役を育成>
国民の貧富差が激しいフィリピンでは、資産家が複数のベンチャー企業を立ち上げるケースが多く見られます。
ベンチャー企業は、ビジネスの読みが非常に早く、何に力を入れるかの判断がとてもスピーディーなのが特徴です。
現地の某ベンチャー企業では、オフショア開発の際に必要なブリッジSEを育成。
日本と現地の仕事の進め方の違いを理解した上で、二国間のプロジェクトを円滑に進める役割を果たしています。
<大学と企業の連携で人材育成>
フィリピン大学IT Training Centerでは、市場で必要とされるIT人材を育成するために、企業とタイアップしたカリキュラムを取り入れています。
企業から講師を呼んだり、社員を大学へ生徒として派遣したりと、双方の連携がうまくとれている様子が見受けられました。
また、企業からの手厚い奨学金制度が整っているのも特筆すべきポイントです。
学生は、企業と密着した学びを通じて、最新の知識や技術を身に付けることができます。
一方、企業は早い段階で優秀な人材を確保し、即戦力として活かすことができるのです。大学と企業、双方にとって大きなメリットが感じられるシステムといえるでしょう。
元々、フィリピン大学IT Training Centerでの「人材育成プロジェクト」は、2004年から2011年にかけて、日本のODA(政府開発援助)予算によって技術協力をおこなってきた取り組みです。
しかし現在では、大学と現地企業がうまく連携し独立採算制をとるまでに成長しており、ODAからの補助金は拠出されていません。
大学と企業連携の希少なモデルケースと言えるでしょう。
今後、フィリピンへのビジネス参入を検討する場合、フィリピン大学の例のように企業と大学が連携をとっていくのも1つの方法かもしれません。
企業から講師を輩出→大学で優秀な人材を育成→優秀な人材が企業へ就職というサイクルは、特に地元で就職をしたい若者にとって、とても魅力的にうつるのではないでしょうか。
<次世代の人材を育成するために>
これから、さらなる経済成長が期待できるフィリピン。
日本がフィリピンへのグローバルビジネス化を考えたときに必要となってくるのは、二国間を橋渡しするグローバルな視野を持った、リーダー的役割を担う人材だと考えています。
繰り返しになりますが、仕事のやり方が異なる日本とフィリピンにおいて、プロジェクトを円滑に進めるためには、双方の文化の違いを汲み取る能力が必須。
しかし、現状では、日本からの指示や意図を現地スタッフに的確に伝達し、議論し、新たな価値(ビジネス・サービス)を作り上げることのできる人材は、じゅうぶんに育っていません。
現地のスタッフを、どう育成していいかわからない企業が多いのも現状です。
資金に余裕があれば、現地スタッフを日本に呼んで、まずは日本のやり方をしっかり学ばせる。
その上で帰国させるのも1つの方法かもしれませんね。
また、フィリピン人も日本語習得のハードルを高いと感じています。
言語の壁をどのようにして越えさせるのかも、今後の大きな課題となってくるでしょう。
さらに、私自身が最も必要だと感じたのが、日本のプロジェクトマネージャー、およびリーダーのグローバル化。
プロジェクトマネージャーやリーダーが、よりグローバルな視野を持ち、グローバルな仕事の進め方を身に付けないと、他国のビジネススピードにはなかなか追いつけないのではないのでしょうか。
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4回にわたってお届けしてまいりました、「アジアにおける人材育成」いかがでしたでしょうか?
東南アジアの中でも、特に親日性が高いといわれる、ベトナム・シンガポール・フィリピン。
私なりに各国の知識を収集して視察に臨んだつもりでしたが、実際に足を運んでみると、当初の予想とはずいぶん異なることを実感しました。
東南アジアと言っても、文化や国民性はさまざま。
ひとくくりにして、グローバビジネスを展開するための判断材料にしてしまうのは、たいへん危険だと感じます。
これからグローバルビジネスを検討するにあたっては、やはり現地に赴き、生の状況をしっかりと把握すること、それを元に整理や分析をしていく必要性があることを強く感じました。
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