これからの人材育成とは?自ら動ける社員を育てる方法

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企業における人材育成とは、「社員を企業とその先にいるお客さまに貢献できる人材に育てること」です。みなさまの企業でも社員を育てるために、さまざまなOJTや研修を実施されているのではないでしょうか。

今回は、ビジネス環境の変化が激しい現代において、これからの人材育成はどうあるべきか、見ていきたいと思います。

従来型の人材育成

高度成長期の頃の人材育成は、4月に新入社員が一斉に入社したところで、OJT(On the Job Training) と集合研修により、徐々に一人前に育て上げるというものでした。

経営環境や事業領域に大きな変化がない時代には、経験や知識、ノウハウをじっくり磨き上げていくことが重要でしたし、社内には手本となる先輩がたくさんいました。

OJT
OJTとは、On the Job Trainingの略です。つまり職場で働きながら仕事を覚えるという方法です。先輩社員の指導を受けながら実地訓練を積み、ある程度できるようになったらその仕事を引き継ぐという形で、できる仕事の領域を広げていくことになります。
Off-JT(研修)
Off-JTとは、Off the Job Trainingの略であり、職場を離れて研修の場で学ぶことです。具体的な業務のやり方ではなく、ビジネスの概念やマナーを学習したり、新入社員や中堅社員などの「階層別」「職種別」に求められるスキルを習得したりするものです。

しかし、時代が変わり、現代は情報化が進み、過去の経験や成功事例が普遍化・陳腐化するスピードが速くなりました。また世の中のニーズが多様化し、新しい商品・サービスを生み出す、イノベーティブな力が求められるようになりました。

これからの時代を企業が勝ちぬいていくためには、スピーディに新しいタイプの人材を育成する必要が出てきました。

これから求められる人材像とは

変化の速い時代には、「自ら新しいビジネスを創り出していける人材」が求められています。

これからの変化の速い時代には、既存の枠組みの中で標準化したスキルをじっくり身につけていく時間はなく、あったとしてもそのスキルはいつまでも通用しない可能性があります。

  • 社員がもともと持っている資質を活かす
  • 新しいものをどんどん生み出していくことを社員一人ひとりが意識し、実現する

このような状況が理想的と言えます。

自身の持つ資質や特性を磨き、一人ひとりが自律的に仕事を創っていかなくてはなりません。「浅く広く」のゼネラリストではなく、何らかの専門領域を持った「その道のプロ」が求められます。そして、そのプロ同士が上司・部下の縦の関係だけではなく横の関係を構築し、交わることで、今までになかった商品やサービスが生み出されてくるというわけです。

自ら動ける社員を育てるには

それでは、自律的に動ける社員はどのように育成するのでしょうか。「人は、どのようなときに動くか」をヒントに、解説します。そして、これからの人材育成を考える上での重要なキーワードをご紹介します。

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動ける社員を育成するポイント

第一に、社員本人の強みや得意なことを伸ばし、資質や特性を徹底的に活かせる業務を、責任を与えて遂行させます。

人間は、好きなことや得意なことへの努力はつらく感じないものです。もっとこうしたい、次はあれをしてはどうかと、自然と主体的、自律的に動けるようになります。

第二に、社員のモチベーションを向上させます。昇給や昇格などの報酬面ももちろんモチベーションとなりますが社員が、希望する配置転換やキャリアを実現することは大きくモチベーションを向上させます。会社の人事方針を押し付けるのではなく、社員の希望を聞き入れることがモチベーションの維持向上につながります

会社と社員の対話が重要

上記の施策を実行するためには、会社と社員の対話が重要になります。

研修や面談などの場で、定期的に対話の時間を持ちます。そこでは、会社としての方針や人材育成のロードマップを示すことは従来通り必要です。その一方で、社員自身の思い描いているキャリアイメージや希望を丁寧にヒアリングします。

これからの人材育成に必要なキーワード

これからの人材育成を考えるにあたり、重要なキーワードをご紹介します。

デザイン思考
デザイン思考とは、20世紀後半のアメリカで生まれた言葉です。論理的に物事を積み上げて考えるのではなく、クリエイティブな思考で生まれた案をふくらませてビジネスの課題解決にあたるというものです。
ここで大切なのは、100点の完成品を最初から出そうとするのではなく、50点でもいいので試作品を早く出す、ということです。一部の企画担当者だけで完成品までの議論を詰めてしまわずに、ユーザーに近い関係者を含むメンバーで、プロトタイプ(試作品)として形になったアイデアを見ながらどんどん自由に議論し、修正を加えていきます。それにより、やり直しもこまめにでき、結果として短時間でイメージ通りのものを仕上げることができます。
アジャイル
ソフトウエア開発の方にはなじみのある言葉ですが、「俊敏な」「すばやい」という意味です。デザイン思考同様、とりかかれるところから取り掛かる、という手法を指します。顧客のニーズを臨機応変に取り入れ、改善しながら最終形に近づけていきます。
つまり、アウトプットはスピード感を重視しており、最初から100点のものでなくてもまずは形にすることが評価されるという空気が大切になります。
また、個人の育成という観点からも、まんべんなくスキルアップして平均点をあげるというのではなく、本人の素質を活かし、新しい価値を生み出す「共創力を高める」という発想で臨むことが求められます。

人材育成のフレームワーク

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次に、自律した人材を育成するために、社員一人ひとりの資質や特性を活かすためのフレームワークをご紹介します。これは6つのステップに分けて、新しい人材育成の枠組みを表したものです。

ステップ1 人材戦略を立てる

はじめに、経営戦略に基づき、人材戦略を立てます。スピーディに、アジャイルに社員を育成していくにあたり、求める人材像や人材育成方針を、全社を通じてしっかり決めておくという事です。

自律的に動き、共創力のある人材を育成するために、時には「出る杭は歓迎する」「発言や発想の自由を担保する」というルールも必要になります。

ステップ2 人材育成のしくみをつくる

次に、人材育成のしくみをつくります。ここで注意することは、

  1. しくみは、変えるためにある
  2. 運用にあたっては、経営層の視点を持つ

の2点です。

1.は、しくみを一度決めたらもう変えないのではなく、時代に合って最適なものか常に見直しましょう。
2.は、しくみを回すことが目的なのではなく、「新しいビジネスを生み出せる人材が育ってきているか」という視点を忘れないようにしましょう。

ステップ3 現場定着の仕掛けをつくる

しくみを運用して評価できる状態になるまでの間は、とにかく「やってみる」ために現場に定着させる仕掛けを考えます。例えば、先の日付で見直すタイミングを設定し、それまではこのしくみに基づいてやってみようと全社員に意識づける、などの方法があります。

ステップ4 現場力を向上する

全社員に一律のスキル習得やレベルアップを期待するのではなく、それぞれの持ち場で最高の成果を出せる人材を育てることを目指します。不測の事態への臨機応変な対応、新規ビジネスのためのアイデア出しなど、指示がなくても自分から動ける力を身につけてもらいたいところです。

現場力を向上させる一番の方法は、裁量を持たせ、「任せること」です。時には失敗もするかもしれませんが、そこから学ぶことも多いものです。管理職はじっと見守り、最後に責任を取るというスタンスで臨むと、社員の現場力は格段に上がります。

ステップ5 人材力を診断する

人材が育成される環境やしくみを整えたら、次は本人の現状の資質やスキルを見える化します。客観的な診断結果を見て、伸ばすべきところや補うべきところといった課題を認識してもらいます。それにより社員自身が納得の上で変化、成長していくことができるようになります。

ステップ6 人と組織の「才能」を引き出す

人事評価のステップをもとに、適切な人材配置を行います。社員がモチベーションを高く持って働けるような環境を整えれば、さらなる才能を引き出すことが可能となります。

まとめ

いかがでしたか。今は、ビジネスの手法や注目される業種が数年単位で入れ替わるような変化の速い時代です。自らが動き、新しいものを生み出す力のある人、社内外の横の関係を築くことができ、周囲を巻き込んで動ける人を育成することが求められます。

そのためには、

  1. 社員をゼロから育てるというより、社員の資質や特性を徹底的に活かす
  2. 人材育成のしくみ自体も入れ替わってよいものとみなし、一定期間運用してみて、見直しを図る

といった方針に基づき、人材育成の取り組み方を変える必要があります。
経営者や人事担当だけでなく、現場の社員も巻き込んでの大きな変革となりますが、不測の事態に備え、今から取り組んでいくことをお勧めします。

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更新日:2019年01月15日

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