サクセッションプランの意味と5つの導入手順

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従来の人材育成・後任登用とは異なる手法として導入する企業が増えてきている「サクセッションプラン」。実際にどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。また、導入を決めてから何をどう決めていけば良いのでしょう。わかりやすく解説します!

サクセッションプランとは

サクセッションプランとは、後継者育成計画、つまり事業を継承する後継者を育成するための計画のことをいいます。

上場企業について、2015年6月より施行されたコーポレートガバナンス・コード(上場企業が守るべき企業統治指針)の補充原則4-1(3) に、「取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者等の後継者の計画(プランニング)について適切に監督を行うべきである。」と定められています。

また、広い意味では、非上場企業でも、部課長レベルのマネージャー層でも、適切な人材を育成し、将来に備えて確保していくことが多くの企業の経営課題となっています。

経営陣の後継者候補の育成とその選定がいかに重要であるかがわかります。

通常の人材育成との違い

これまで「事業承継」「幹部候補生」「帝王学」といったキーワードで表されることが多かった後継者育成ですが、サクセッションプランとは、通常の人材育成と次のような違いがあります。

  • 各部門を経験させるジョブローテーションに加え、経営方針や経営戦略を踏まえた、より長期的視野に立った育成を行う
  • ある一部門の中で専門性を高めるのではなく、全社横断的に経営層としての期待レベルに達するよう全分野において育成していく

従来の後任登用との違い

サクセッションプランと従来の後任者の登用との違いとしては、

  • 後任候補者のキャリアから判断するのではなく、経営理念や経営戦略に即した後継者としての人選を考慮する
  • 該当ポジションに近い年次の社員から選び出すのではなく、長期間かけて経営層としてふわさしい人材の育成を目指して、該当者をリスト化やプールし、育成する

といったポイントが挙げられます。

サクセッションプランのメリット・デメリット

企業の将来にとって重大な意味を持つサクセッションプランですが、どのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。

メリット

  • 企業存続のための後継者不在リスクを回避することができる。
  • 一人のカリスマ的経営者に頼る経営ではなく、経営陣として優秀な人材を育成していくことができる。

デメリット(課題)

  • 運用に数年~数十年かかる長期プロジェクトとなる。
  • 該当者への意識付けや、該当者の定期的な見直し、選外となった社員のモチベーションの維持など、注意深く取り組む必要がある。

サクセッションプランを実施するための5つの導入手順

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実際にサクセッションプランを策定するには、どのようなステップがあるのでしょうか。企業によってアプローチは異なりますが、一例として、プランを策定していく手順をご紹介します。

1.自社のミッション・経営戦略を明確にする

創業以来の経営理念や、経営の基盤となる製品・サービスの特徴を改めて確認し、現在の自社を取り巻く環境と照らし合わせます。

そのうえで守っていきたいものと変えていかなくてはならないものをしっかりと見極め、今後向かうべき方向や、そのために取るべき戦略を明確化します。

2.経営戦略を実行する役割を明確にする

今後自社が伸ばしていきたい事業、継続して行っていく事業を遂行していくにあたり、経営層にはリーダーとして社員を束ね、社を率いていくという役割が求められます。

既存のポストにこだわらず、自社の成長に必要な役割およびポストを現経営層、外部関係者とともに検討します。

3.役割を実行する人材の要件を明確にする

役割が明確となったら、それを実行する人材に求めるものを明確化します。

  • 経営全般に関する知識
  • 十分な実務経験
  • 責任あるポジションの経験
  • 業界他社、監督官庁など社外との人脈
  • リーダーシップ、コミュニケーション力、誠実さ、粘り強さなどの資質

といったものがあります。

4.人材要件に合致する従業員を選出する

ここが一番難しいところです。対象ポジションのすぐひとつ前の階層で選出というよりは、若手のうちから育成していく前提で人材をプールしておく企業が増えています。従来の実績や経験をもとに、その延長線上で上のポストにあげていくのではなく、今後必要となる要件を満たしうるか、対象者の成長の可能性を図らなければなりません。そのため、試験方式を採用し、従来から昇格に必要とされていた論文や面接に加え、ロールプレイやディスカッションなどを社外のアセスメントセンターを利用して行うなど、多方面評価を行うのがよいでしょう。

あわせて重要なのは、本人のやる気です。経営陣となる熱意、自社を繫栄させようという強い思い、社員に対する思いやりなどを持っている人物かということをよく検討します。

5.該当人材に個別で機会を提供する

対象者を選定したら、本人に通知をはっきり行う企業もありますが、後に該当者の見直しを実施した際、対象者から外れてしまい通知した本人にショックを与えることもあるため、通常は何となく感じ取ってもらうように、育成プランとしてさまざまな機会を提供していく企業が多いようです。育成プランとして提供する機会としては、次のようなものがあります。

各部門での実務経験
さまざまな部署をローテーションで経験することで、各部門の専門知識を身に着けるとともに、業務の流れを理解することや人脈を築くことができる。
責任あるポジションの経験
子会社や関係会社の経営に携わる、社内横断プロジェクトのリーダーを務めるなど、将来経営層としてトップで働くことを疑似体験できる。
経営の疑似体験
経営会議に運営スタッフやオブザーバーとして携わることで、将来の経営を疑似体験できる。

まとめ

いかがでしたか。サクセッションプランに基づく長期にわたる人材育成計画の策定・運用は、単に経営層の後継者選びにとどまるものではありません。自社の経営理念を明確化し、将来を担う人材をより多く育てることができ、企業価値を高め、結果として社会貢献へとつながります。今後も注目が高まる重要な手法と言えます。

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更新日:2018年07月10日

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